ホンネで動かす組織論 太田肇

これ面白かった。☆☆☆☆☆(☆5つ)


この本で一番面白かったところは、残業代を上げればサービス残業は経るっていう所。
太田氏曰く、人事権などを上司が握っている場合は、やる気をアピールするためにする必要もない残業をする人が多い。
この場合サービス残業は、やる気のPRとして使われている。そのため、する必要もない残業をする羽目に陥ってしまう。
ところが!残業代を上げれば、残業をするということは今までの「やる気のPR」から「金を稼ぐ」という目的に変わってしまう。
当然、無駄な残業をしている人に対して白い目を向けることになる。
だから、一見残業代をあげるということは、企業のコストが高まるようでいて、効率性を上げることができるやり方である。
逆説的でいて真であるところが面白いね。


本題は氏曰く企業と社員のタテマエとホンネが乖離していること。
今までは両者の間でタテマエとホンネを使い分けることで(終身雇用制とか)両者の間にWIN-WINな関係が築けていたが、社会システムの変化により、従来の雇用システムが機能しなくなっていると。
これからはやる気を示すための無駄な努力を社員がしなくてもいいよう、成果が正当に評価されるシステムが必要であると説く。

では、本当の成果主義とは何か?
氏は成果主義には開かれた成果主義と閉ざされた成果主義があり、前者のやり方が今後有望であるととく。
開かれた成果主義によって、自分の仕事に対して自分の名前を公表することによって有形・無形の報酬をその人に与えることができる。
つまり、それはすべての人の自営業化である。それが進むことによって雇用の多様化も広まる。


無駄なタテマエ経営を省き選択の多様性を確保すること、その選択をした人に、自分の選択に対して責任を取らせることが大事である。
私はこの人の意見に賛成。