陰陽師 生成り姫

陰陽師 生成り姫 (文春文庫)
去年話題だった陰陽師
私は陰陽師というと『東京BABYLON』の昴君を思い出します。


夢枕獏さんの作品は始めて読んだけど、結構面白かった。
徳子姫が昔の男に執着して嫉妬して鬼と化しているところを
現在ほのかに想いを寄せている博雅に見られてしまって、
後悔して、羞恥心でいっぱいになりながらもなお昔の男のことを
うらまずにはいられないシーンで
徳子姫に思わず共感。
理性でとめようと思ってもとめられない感情が湧き出てしょうがない時って
あるよね。と思った。


あと、蝉丸が琵琶を博雅たちのところに持ってきて、琵琶を弾いたときに
あまりにもすばらしい琵琶の音色にもう一曲弾きたいけど、
でも今弾いたこの曲の余韻を楽しんでいたい気もするって言ったところが
なんとなく風流の心を映している気がした。
今よりものがない分、精神的には豊かな生活を送っていたのかもね。
ものを補うために想像力と五感をフルに活躍させていた時代だったんだろうなあ。