ナラタージュ 

☆☆☆☆
ナラタージュ
面白かった!!すごいね、この若さにしてこれだけ書けるなんてすごいなあ。行間を渦巻く感情が濃かった。

大学2年の泉は、高校時代から好きだった葉山先生がいまだに忘れられない。
そんな時、葉山先生から演劇部の手伝いをしてくれるよう頼まれる。
再び高校生のころに戻ったような錯覚を感じながら葉山先生への思いを募らせていく泉。
葉山先生も自分の妻が放火をしてしまった過去を泉に話し、苦しさを共有する。
一度は葉山先生から断られた泉。傷心の泉を見守り、思いを寄せる小野。
小野と付き合い始めた泉は、心の安らぎを感じる。でも葉山先生への思いをどうしても断ち切れず、再び葉山先生のもとへ向かう泉。しかし、彼の部屋で見たものは…


この小説ですごく感情が高ぶったところは泉が葉山先生の部屋に入るシーンと最後。
「なんかこの部屋おかしくないですか」って言い始めて葉山先生がまだ奥さんと付き合ってることに気づいた所では泉と一緒に私まで吐き気がするほど引き込まれた。
葉山先生が小野君と付き合い始めた泉に「僕は君が幸せでいればいいんだ」と言い切ってしまうかっこよさ。
お互いがお互いを大好きなのに、二人がくっつくと幸せになれないから、互いに相手が幸せになれることを祈って別の道を歩むことにする哀しさがせつない。
最後に葉山先生と親しいカメラマンが「教え子に似た子がいるけど、もう会えないから、その顔を良く見ておくんだ」と葉山先生が言っていたことを伝えるシーンはせつなすぎる。



…でも良く考えるとそんなに思いあってるんなら二人でくっつけばよかったのにね。
放火しちゃった奥さんに義理を立てる必要ないのに。奥さん側から一度関係を絶つよう頼まれたんだから。
二人がくっついちゃいけない理由がもっと必然性を帯びてたらもっとよかったなあ。