震度0 横山秀夫

震度0
☆☆☆


私は「クライマーズ・ハイ」の方が好き。
この本は地方警察という組織の中で渦巻くおじさんたちの権力争いがすごくよく描かれてる。
普通の会社に勤めると、この本みたいに人間関係複雑になるのかしら…


ある日、組織の要でみんなから頼りにされている不破課長が失踪した。
原因は、不破課長が数年前に担当した選挙選での事件の逆恨み?
それとも上司が誤ってもらった賄賂を返す途中で?
お堅いと思われていた課長が昔浮気をしていた?そのときに出来た子供の逆恨み?


情報がない中、それぞれの部課長が自分の欲望と交じり合って捜査を繰り広げる。
部課内の対立、出世欲、退職後の天下り先…
自分のことに精一杯で不破課長を案じる人は一人としていなかった。

しかし、不破夫人が明かした不破課長の失踪の真実とは、
捜査に当たる警察官達を欺くものだった。


まさに震度0
本当はなんでもない事件だったのに、組織内がうまく動かないせいで
とんでもない大きな事件になってしまった。
ひとつの事件で組織内の腐敗を書ききってたと思う。
そこはすごいけど、おじさんのどろどろに付き合いきれなかったなあ。