神様のボート 江国香織
さまざまな愛情が流れている話。
例えば、いなくなってしまった恋人の約束を待ちつづける母親の話。
夢の中でいきる母親と、その世界を共有できなかった娘の話。
恋人を追いつづけて一度は親を捨てた娘を受け入れる両親との親子愛。
「旅がらす」のため、しょっちゅう友達と別れざるをえない娘の友情。
江国香織さんの小説はあまり好きではないけれど、この話は結構面白かった。
この本で一番印象に残っているのが、
「お母さんの世界で生きられなくてごめんね」という草子(娘)の言葉。
というわけで親子の話を一つしませう。
親による子供の教育って、親の価値観の押し付けだと思った。
小さいときはだいたい子供は母親の世界を共有できるよね。
でも、思春期になるとほころびが見え始める。
母親の価値観、世界を共有できなくなってしまう。
それに対して悩んで、反抗して、母親の世界を壊して、自分の世界を確立する。
大人になるためには、母親(だけじゃないけど身近な人)の世界観を批判し、壊すことが必要なわけだ。
その時に、子供は自立するってことの意味を知る気がする。