邂逅の森
- 作者: 熊谷達也
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 2004/01/28
- メディア: 単行本
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面白かった。
主人公の富治さんは伝統的な手法で山の獣を狩るマタギ。
富治さんはマタギになることに憧れ、マタギ稼業を愛していたんだけど、
自分の不始末で村から追い出され、狩ができなくなってしまう。
彼はマタギであった自分とこれから鉱山夫として働く自分の間で揺れ動くものの、
苦労してマタギとして生きる道を見つける。
彼にとってマタギであることは息をすることと同じくらい自然なことで、
狩をすることが生きる意味でもある。
マタギであることがアイデンティティなんだよね。
だから一度それを奪われて鉱山夫になっても、
やっぱりマタギになることを選んだ。
そこで、苦労してマタギとして生きてめでたしめでたしなのかと思ったら、
最後に山の神様との戦いで
彼はマタギとして生きられなくなってしまう。
生きる意味を失った彼を最後に支えてくれたのは
最愛の妻・イクへの愛があったから。
という予想外の展開だった。
最後に人を支えるのは人への愛っていうところが。