内側から見た富士通 「成果主義」の崩壊

内側から見た富士通「成果主義」の崩壊 (ペーパーバックス)

私がいる会社の嫌なところ、それはこの会社に「未来」がないこと。
将来性のないビジネスにしがみつき、上層部は既存の路線を保身することしか頭にしかなく、若い社員の創造性やらやる気やらを評価するシステムも意欲もない。
こんな会社はここだけじゃないかと思っていたら、優良企業・大企業(昔の企業って感じだけど)のイメージがある富士通も内部はぼろぼろならしい。


成果主義の難しいところは、社員の実績をどのように評価するのか、ということだと思う。この本ではその評価の尺度がゆがんでしまったため富士通が傾くまでにいたったプロセスを詳細に述べている。
最近では新聞でも取り上げられているが、成果主義を評価する際、

  1. 短期の実績しか評価できない
  2. チームワークが評価できない
  3. 数値ではかれない実績が評価できない → 結果として残業時間などで評価しがち

といったことが問題になると思う。


加えて、人が仕事をする際に求めるものはさまざまなんだけど、成果主義はそれを一律に「お金」を与えることと「地位」を上げることでしか応えることができないというところが問題だと思う。
人が仕事をする際に、「お金」「地位の向上」「趣味等自分の生活」「やりがい」等どれを一番重視するかは人によってそれぞれ違う。
それを「お金」や「地位」の向上でしか応えない、となってしまうと、業績が上がった社員にはもっとお金を、もっと地位を上げなくてはいけなくなってしまう。でもそれは会社としては無理だし、不景気といわれる経済情勢の中、社員もずっと業績を上げ続けることはほぼ不可能。
「お金」や「地位」ではなくて、仕事の楽しさややりがい、自分の成長を与えることができれば成果主義は成功するんじゃないかなあ。
前、バイト先の店長が「バイトの子が精一杯働いてくれるためには、彼ら彼女らが働きやすい環境を作ることが必要だ」っていう考えの持ち主だった。
そこで働いてた時は、すごく働きやすかったし、そういう考えを盛ってくれている店長をちょっと尊敬してたから、この人のためにがんばって働こうと思った。


結局仕事は「お金」目的じゃないと思う。ある程度のお金をもらうことは必要だけど、お金のためだけに働くというのでは社員は疲弊してしまう。
それよりも社員に「希望」や「未来」を見せてくれるほうがいいんじゃないのかな。
これもとっても難しいけれど、これを可能にするには

  • 機会の平等の確保
  • 柔軟な意思決定制度

が必要。つまり、縦型社会を壊す必要がある、と思う。