海のふた よしもとばなな

海のふた
☆☆☆
まりが好きなのはカキ氷。
べたっと甘いカキ氷ではなくて、一日に何杯でもたべられるような上品な甘さのカキ氷。
それを、まりが生まれ育った鄙びた田舎の海岸で売ろう。
それで自分の島がもっと素敵になるように。


まりのもとにやってきたのははじめちゃん。
遺産相続争いから逃げてきたお嬢様。でも小さい頃のやけどのあとが全身に残ってる。
それだからこそ、純真なところを多くもつはじめちゃん。

この二人が海岸でカキ氷を売る話。


私もまりのつくったカキ氷をたべてみたいなあ。
まりとはじめちゃんが自分の周りの小さなもの、日常生活をしっかり愛して生きているところが好き。「感謝」が行間に満ち溢れている。


印象に残ったのは、恋人の話をするはじめちゃんが、
「でもあの人は私のことが好きなのか、このやけどのあとがあるから私のことを好きになってくれたのかが時々分からなくなる。」
っていったときに、まりが
「それはそうだよ。だってはじめちゃんはやけどのあとがあるからこそはじめちゃんのよさが引き立ってるんだよ」って言うシーン。
やけどのあとってマイナスのイメージがあるからこそ、それが人の良さを引き立てるって新鮮。それに感謝できるっていう所が素敵。