六番目の小夜子 恩田陸

六番目の小夜子 (新潮文庫)
☆☆☆
恩田陸さんのデビュー作と聞いて、あんまり面白くないのかなあと思いつつ読んだら、
結構面白かった。

この人ならではの学校となぞめいた美少女が鍵を握るミステリアスな話。

確かに最初に作っただけあって、後から思うと
できすぎじゃ?ってところは多々あるけど、
学園祭で、全校生徒みんなでフレーズごとにせりふを順番に言ってひとつの劇を作るシーンは、わくわくしたなあ。

少し卒業式を思い出した。
私の学校の卒業式は、式がおわったら「ちょっとまってくれ!」って卒業生が叫ぶところから始まって、
有志でワンフレーズごとに思い出を語り、みんなで「ありがとう」で締めて、
卒業生全員でクラッカーを鳴らすんだ。
それからめいめいお菓子とクラッカーのごみ(?)を在校生に投げて退場。
青春ってかんじですね。
今も続いてるのかな。

私は由紀夫君がいった、
「目に見えないものを毎日机に向かって勉強して、その目に見えないものができるかできないかで大学に入れるかどうか決めるわけだろ。うーん、非現実的だよな。でもこれが現実なんだよね。(中略)でも、大学に受かって何が嬉しいんだろ?いいところに就職できるから?じゃあ、落ちたら何がつらいんだ?よく考えると別につらいことでもないんだよな。ただみんなが寄ってたかってつらいぞみじめだぞとおどすから、ものすごくおっかないことのように思えるだけでさ」
ってせりふが妙に印象に残った。
何を幸せって決めるかは自分次第だけど、明らかに「不幸」というレッテルを他人から貼られる場合ってあって、そのギャップが消化不良になるときってあると思う。
それをうまくあらわしてるなあって思った。
大学は世間的にいいと評価されてるところに行ったほうが、自分の可能性が広がるとは思うけどね。
過ぎ去りし受験時代を思い出しましたよ。