サウスバウンド 奥田英朗

☆☆☆☆
サウス・バウンド

年明けて最初に読んだ本。
面白かった。


型破りな父親に振り回される上原一家の話だけど、
ふりまわっされぷりが尋常じゃない。
父親のかつての同士が敵対するリーダーを殺し、
知らず知らずのうちにそれに巻き込まれた二郎。
父・上原一郎は沖縄より南の辺鄙な島への移住を決意する。


二郎は知らなかったが父は元過激派、母はその過激派グループでお茶の水ジャンヌ・ダルクと呼ばれた人。
単なるうそつきだと思っていた父は実はカストロとも知り合いで、伝説の男とまで呼ばれた人ならしい。


あくまで常識人として客観的に見ようとしつつ、小学生の身分では親に従うしかない二郎。
上原一郎の常識破りっぷりには、極端すぎて最後は応援したくなった。
普段まじめに(?)常識的に生きようとしてがんばっている私にとっては、
今までの行き方を放棄して自由に生きようかと思ったよ。かなりマジに。


この本で一番印象に残ったのは次の一説だなあ。
誰か大人が二郎に向かってこういうんだよね。うろ覚えだけど。
「大人:二郎のお父さんは確かにいろいろな問題を引き起こすけど、彼は自分の信念に反したことは一切やっていない。大人になると信念に基づいた行動でも、世間の常識とかを考えてできなくなってしまうけど、二郎のお父さんは違う。そこを二郎は誇っていいよ。
お父さんは自分の信じることをやっている。それが世間の常識に合っていないだけだよ。
二郎:…でも世間の常識にあわせるって言うことが一番大事だと思う。」
あー、私も世間の常識とかに煩わされることなく好きに行きたい。
私も会社辞めて南に行こうかなあ…