その日のまえに 重松清

☆☆☆
その日のまえに

これがあの「ビタミンF」を書いた人?ってなぐらい予想以上に人情物っぽくておもしろかった。しみじみしました。
ちょっと奥田英朗さんと混同していた節があるかも…


近しい人が死ぬ日、「その日」。
その日を突然迎え泣ければいけなくなった人々の短編集。


私は二番目の「朝日の当たる家」が一番好き。
理由は…先生が「あんた達はまだ終わってないんだから、いくらでもやり直せるんだからがんばんなさい」って言ったところが好きだから。
あー・・・私ってよっぽど就職で人生に失敗しちゃったと思って落ち込んでるんだなと最近本読んで感動するポイントが一緒だから気づいたよ。「人生はやり直せる」みたいなせりふに弱いよね…はい、これからの人生がんばります…


あと、「その日のあとで」で、亡くなってしまった和美が、だんなさんに
「忘れてもいいよ」
って言う手紙を看護婦さんに託したところもすごい感動した。
忘れてもいいよ、なんて薄情なせりふかと思いきや、これほど相手のことを思っているせりふはないんじゃないかっていうぐらい見事なせりふだよ。
忘れてもいいよ、そしてあなたはあなたの日常を生きて。
どんなに悲しいことがあっても時は流れていくから。
いつまでも私が死んだという過去にとらわれないであなたはあなたの日々を前向きに歩んでいって。
すごい素敵な手紙だ。