阿修羅ガール 舞城王太郎

阿修羅ガール (新潮文庫)
☆☆
なんかぶっとんだ話だった。
アイコの夢、ハデブラ村での出来事を語るシーンがちょっと「アルカロイド・ラヴァーズ」の星野智幸さんを彷彿させるタッチ。
なんかぶっ飛んだ話なんだけど、ふとみせるアイコの理性(直感?)の鋭さにうならされる。
最後の章の阿修羅像と小山嘉崇を語るところとかね。
阿修羅像を作る小山氏は、すばらしい仏像職人だったのに、阿修羅像を作ったときだけは、それをこわしていたと。
それはいったいなぜって言うところのアイコの観察眼がすごい。
アイコいわく、小山氏は阿修羅像を壊すことで自分も壊していたと。
自分に満足していない人ってのは結構世の中多くて、自分を殺すことで人生リセットして新しい自分に取り替えられたらなんて都合がいいだろうって考えることはだれでもあるはず。
でも新しい自分が前よりいい自分かって言うのはわからないことであって。
なんてごちゃごちゃ言いつつ、
「我思う我ありってのが私の中で壊れちゃった今、じゃあどうするかっていうと、どうもしない。

何故なら私がこうして生きて、お兄ちゃんと暮らしたり、陽司のことを思ったりすることが、私は本当に楽しいからだ。楽しい、と感じている気持ちは本当だから、それなら結局全部オーライなのだ。オールオッケー。問題なし。」
と言い切っちゃうアイコの強さがすばらしい。
これぐらいいい切っちゃえる人ってばかっぽいけど、こういう人が一番強いし、一番この世を生きていくことをわかってると思う。
生きていくって難しいんだけど、そこんとこ考えすぎちゃうと生きていけないし、
難しいことわかってるからそれを無視して現実を生きていく強さって必要だよね?
って結局最後のほう結構難しくて読み取れてるかよくわかんないけどなんか深い話だった。